Abstract

本研究では, 子どもの類推における共通性の抽出と転移の発達について検討した。特に, 2つの状況で主客が入れ替わった場合に焦点を当て, 子どもは関係の意味を手がかりに構造の共通性を抽出するか否か, 構造の共通性を抽出する場合に転移は必ず生じるのか否か, について調べた。ベースとターゲットで主客が入れ替わる材料文を用意し, 4・5・6歳児(各14名, 計42名)に対して提示した。その際, ベースとターゲットで知覚的な特徴が類似する知覚類似あり条件と, 知覚的な特徴が類似しない知覚類似なし条件を設けた。その結果, 知覚的類似性の有無にかかわらず, 4歳児では構造の共通性を抽出しないが, 加齢に伴い可能になり, 6歳児なら抽出できるようになることが示された。また, 5歳児は構造の共通性を抽出できる場合でも必ずしも自発的に転移を行うとは限らなかったが, そのような子どもに対してベースとの関連づけを促したところ, 転移が生じるようになることが示された。このような発達的変化について, 関係を抽象的な形式に表象しなおす能力の獲得, および, 複数の関係を扱うための情報処理容量の発達の観点から討論を行った。

Full Text
Paper version not known

Talk to us

Join us for a 30 min session where you can share your feedback and ask us any queries you have

Schedule a call