Abstract
クラフトパルプの収率向上技術の一つとしてポリサルファイド(PS)蒸解があるが,工程内のナトリウムとイオウのバランスを崩さないためには白液からPSを生成する必要がある。日本製紙は現在,白液から効率よくPSを生成する方法として,膜電解による白液電解法を開発している。また近年,白液を分散添加して通常蒸解よりも低温で長時間蒸解することを基本とする全缶等温修正蒸解(ITC蒸解)が実用化され,多くのプロセスに導入されている。しかし,修正蒸解法にPS蒸解を組み合わせると,分散添加によって蒸解初期に添加する白液の量が減るために,蒸解初期のPS, NaOHおよびNa2Sの濃度が低下し,Na2S濃度は白液からのPS生成によってさらに低下する。本報告では,実証電解槽が設置された工場の蒸解を想定した実験を行った。その結果,白液電解法では,PS生成時のNa2S濃度低下を最低限に抑制しつつPSの濃度を上げることが可能となり,蒸解薬液を分散添加しない通常蒸解において,空気酸化法PS蒸解の約1.5倍の収率向上効果が得られることがわかった。さらに,工場の修正蒸解を想定した実験では,空気酸化法によるPS蒸解と修正蒸解を単に組み合わせると,PS蒸解による収率向上効果の一部が失われるが,膜電解によるS分(Na2SとPS)の濃縮効果を反映させる工夫を加えた新しい修正蒸解法においては,さらに大きな収率向上が期待できることがわかった。
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