Abstract

単一検出器型の高分解能誘導結合プラズマ質量分析計(ICP-MS)を用いる高精度な鉛同位体比分析法を開発した.ICP-MSの測定条件や質量差別効果の補正法について最適な分析条件を検討した.補正法として,挟み込み法,内部補正法,両者の併用の3種類について検討した結果,挟み込み法で最も良い結果が得られた.銃弾試料28点の鉛同位体比(208Pb/206Pb,207Pb/206Pb)の日内測定精度の相対標準偏差の平均が共に0.034% と,単一検出器型のICP-MSでも多重検出器型ICP-MSと比較しても劣らない精度で鉛同位体比分析が可能であった.この分析条件を用いて鉛同位体比による銃弾の識別を試みたところ,銃弾の識別率はライフル用銃弾13点で69%,ハンドガン用銃弾15点で87% と,鉛同位体比が銃弾の識別において非常に有力な手法であることを示した.なお,本稿には示していないが,同装置による微量元素分析の結果を同位体比と併用するとすべての銃弾の識別が可能であった.

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