Abstract

造礁サンゴの群集構造と動態に重要な役割を果たしている幼生加入について,四国南西海域の高緯度造礁サンゴ群集で周年にわたる季節変動を調査した。2007年と2008年に,本海域内の須ノ川,西泊,桜浜の3地点で,設置期間を2ヶ月とする定着板の設置と回収を繰り返した。造礁サンゴ幼生の定着は,5月から9月に設置した定着板で観察された。定着量のピークは,2007年は7-9月,2008年は6-8月で,それぞれ定着板1セットあたり1.7個と2.1個であった。種類別では,ハナヤサイサンゴ科が72.1%で最も多く,次いでハマサンゴ科が12.6%,ミドリイシ科が6.0%であった。これは,本海域の造礁サンゴ群集ではミドリイシ属が優占することと一致しなかった。幼生の定着パターンは種類によって異なっていた。ハナヤサイサンゴ科では,定着は5-7月から9-11月までのおよそ半年にわたったが,本海域での幼生放出期に当たる期間前半で多かった。ハマサンゴ科も同様の期間で定着がみられたが,季節変動は不明瞭であった。ミドリイシ科の定着は,本海域でのミドリイシ科の産卵時期である7月から8月の短期間に集中した。本海域での造礁サンゴの幼生加入は,サンゴ礁域に比べて少なくハナヤサイサンゴ科の割合が高いという,高緯度造礁サンゴ群集に特有の特徴が見られた。

Full Text
Published version (Free)

Talk to us

Join us for a 30 min session where you can share your feedback and ask us any queries you have

Schedule a call