Continuous Closed Suction Drainage in Colon Cancer Surgery

Abstract

結腸癌手術における閉鎖式持続吸引ドレーンの使用経験について報告する．対象は閉鎖式持続吸引ドレーン（J-VACドレナージシステム）を用いた結腸癌202例．腹腔内合併症に対するドレーンの役割，ドレーン排液量と腹腔内合併症との関連，ドレーン留置の有害事象について検討した．腹腔内合併症に対するドレーンの役割では，縫合不全，腹腔内膿瘍，術後出血のいずれにおいても治療的意義は少なかった．排液量との関連では，腹腔内膿瘍，腸閉塞は4POD以降に排液が多く（後半型），縫合不全，術後出血は3PODまでに排液が多い（前半型）傾向がみられ，合併症により排液パターンが異なった．ドレーン留置に起因する有害事象として，ドレーン部の感染を４例（2.0％）認めたがいずれも軽微で，組織の吸い込みや挫滅，抜去時の組織脱出はなく，本ドレナージシステムは忍容可能であった．本ドレナージシステムは腹腔内合併症に対する予防的あるいは治療的意義は少なく，診断的意義に限られると思われるが，大きな有害事象もなく，排液量に着目することで合併症の早期発見の一助となることが示唆された．