Abstract

水稲の根系形態を, 簡易的に調査して評価する方法を考案し, アメリカの品種と日本の品種の根系を, 圃場, 大型根箱(20,736cm3), 小型根箱(116cm3), 水耕の栽培条件で比較検討した.各実験とも, プラスチック板を用いて, 冠根を垂直な平板状に展開させるようにして育て, 写真撮影して根系の画像を得た. 画像は株の中心基部からの距離(5cmごと)と, 水平面からの角度(22.5°ごと)で等分した. 分割した各部位について, 株からの距離と角度との積の値を求め, これを各部位の「位置の値」(PV) とした. さらに, コンピュータで画像解析して各部位の「根面積」(RPA)を求めた. この「根面積」と「位置の値」から, 深根性程度を表す「根系の重心」[CRSG:(PV×RPA)の総和/RPAの総和]と, 耐ころび型倒伏性程度と関連性が高いと推測される「根系のモーメント」[MRS:(PV×RPA)の総和]を求めた. 圃場実験では, 分げつ盛期における調査によって, New bonnet を除くアメリカの品種は, 日本の品種に比べて, 「根系の重心」と「根系のモーメント」の値が大きいことを, 容易に明らかにすることができた(CRSG:Lemont>New bonnet≧M-401>M-7≧イシカリ>日本晴>月の光≧中生新千本, MRS:M-401>M-7>Lemont≧日本晴>中生新千本≧月の光≧New bonnet≧イシカリ). 大型根箱実験では, 圃場実験と同様の品種の「根系の重心」と「根系モーメント」の値を把握できた. しかし, 経費と管理の面から多数の品種は扱えなかった. 小型根箱実験と水耕実験では, それらの値を正しく把握することは困難であった.

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