Abstract

塩化コバルトに対するシアン化カリウムのモル比 ((CN/Co比) が2から6までの組成のシアノコバルト (II) 錯体水溶液を触媒とするメタクリル酸メチルの重合を窒素気相中, 30℃ で行ない, この反応における触媒液組成の影響について検討した。その結果, CN/Co 比が6の [Co(CN)5]3- の水溶液は, 窒素中ではメタクリル酸メチルに対し反応が遅すぎて有効な重合触媒ではないが, CN/Co 比が5以下の錯体水溶液中では反応が速やかに進行するのが認められた。そして, CN/Co 比の変化による重合速度の極大は, CN/Co 比が3付近に見られた。これらの結果と従来の報告とから, CN/Co 比が5以下の水溶液を触媒とする重合反応で触媒として主要な役割を果しているのは [Co(CN)5]3- ではなく, この水溶液中に共存する他のシアノコバルト (II) 錯体であることを考察した。一方, 重合反応において 1,1-ジフェユル-2-ピクリルヒドラジルの抑制あるいは禁止作用が認められたことおよびスチレンとの共重合の結果から, これらの重合はラジカル機構で進行していることが指示されたが, [Co(CN)5]3- 以外のシアノコパルト (II) 錯体触媒による重合機構の詳細については目下検討中なので別報にゆずりたい。

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