Abstract

多収性が広く認められている日印交雑品種密陽23号と日本晴を用いて, 5ケ年にわたって, 収量および乾物生産特性の比較を行ない, その相違する要因を個体群構造, 吸光係数で示される受光態勢から解析した。密陽23号は日本晴に比べて1穂頴花数が多いことによりm2当り頴花数が多く, 収量, 乾物生産量は5ケ年を通じ常に日本晴よりも大きかった。天候の良い1984年の密陽23号の収量は754 g/m2となり, 日本晴よりも184 g/m2, 32%多収であった。密陽23号の乾物生産量が常に大きい要因を生長解析を通じて検討したところ, 密陽23号の個体群生長速度 (CGR) は日本晴に比べ出穂期以後に大きくなり, これは平均葉面積指数の割合に密陽23号の純同化率 (NAR) が大きいことによることが認められた。密陽23号の吸光係数は日本晴に比べて出穂期以降小さくなり, この吸光係数の相違には出穂期以降日本晴に比べ密陽23号で垂直に近い葉身が多いこヒ, および穂による遮光の程度が小さいことが関係していた。なお, 個体群内の光強度の日変化から求めた吸光係数は朝夕大きく, 日中小さくなったが, この日変化の傾向に両品種間で相違が認められたのも出穂期以降であった。さらに, 登熟初期に認められた密陽23号のNARについての優位性は, 株間引きを行い受光態勢の影響を少なくした条件の下では認められず, 両品種間の相違は著しく小さくなった。このことから, 出穂期以後日本晴に比べ密陽23号のCGRが大きいことには, 受光態勢が大きく影響していることを推察した。

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