Abstract

土壌の乾燥に伴う穂の水ポテンシャルの変化が穂の発育段階に依存するかどうかを調べた. 水稲品種2品種, 農林20号および密陽23号をポットに栽培し, 異なる穂の発育段階に土壌乾燥処理を与え, 穂と展開が完了した葉身の水ポテンシャルの推移を測定した. 処理を与えた発育段階は1986年の農林20号を用いた実験では穎花分化期, 1987年の密陽23号では幼穂分化期, 減数分裂期および登熟初期であった. ポットは1/5000aの大きさを使用し, 1ポット当り20個体を栽植した. 植物体は分げつを切除して主稈のみとし, 処理開始まで湛水栽培した. その結果, 穂の水ポテンシャルは, 出穂後には葉身と同様に日変化するのに対して, 出穂前には日変化はみられないこと, そして両時期とも土壌の乾燥にともない低下することがわかった. さらに, 同じ出穂前でも減数分裂期には幼穂分化期より幼穂の水ポテンシャルが著しく高く維持されることが観察された. 植物体の任意の器官あるいは組織の水ポテンシャルは, 蒸散と生長の有無に左右される. 従って, 出穂に伴う穂の水ポテンシャルの変化は蒸散の影響によるものと考えられる. また, 水ストレスの進行に伴って幼穂の水ポテンシャルが土壌のそれに近づいたのは生長が抑制されたためと考えられる. 一方, 減数分裂期には幼穂に多量の貯留水が存在し, かつ, 幼穂の透水性が低くなるため水ポテンシャルが高く維持されるものと考えられた.

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