Abstract
マダニはヒトの人獣共通感染症の一般的な媒介動物である.特に畜産分野では数十年にわたり化学的防除が行われてきたが,その結果,海外ではマダニが農薬に対する抵抗性の獲得が顕在化した.また,化学物質の使用による環境汚染や人体への影響から,生物的防除,免疫学的・遺伝学的手法,野生生物管理などの非農薬的防除が盛んになってきている.しかし,どの対策も結果が一様でなくまたコストも高く,納得のいく結果が得られていない.特に生物的防除の規模は時空間的に限られており,野生動物管理における適切な対象種の選定が困難であることが分かっている.個々の対策やその統合には,地域のマダニ個体群動態を把握し,マダニのマイクロハビタットや宿主能力を正確に把握することが極めて重要である.生物多様性はマダニ媒介性感染症のリスクを低減する機能を持つと考えられるが,そのメカニズムを完全に説明する仮説はまだ提唱されていない.野生動物におけるマダニと病原体の両方の発生を防止する生態系管理のあり方を明らかにするためには,さらなる研究が必要である.そのような対策は,生物多様性の保全に基づき,場合によってはゾーニングと組み合わせて行う必要がある.
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