Abstract

患者は初診時年齢30歳8か月の女性で,上下前歯の叢生を主訴に,リンガルブラケットシステムでの矯正治療と非抜歯を希望して来院した.症例は骨格性 II 級の Dolico facial type で,過蓋咬合を伴う Angle Cl. I 叢生であった.CAD/CAM により個別化されたリンガルブラケットシステムに temporary anchorage device を併用した非抜歯での治療をおこなった.動的治療期間13か月にて,叢生の解消と,過蓋咬合ならびに interincisal angle の改善が得られたため,動的治療を終了し保定観察を開始した.本リンガルブラケットシステムによる歯の移動は正確であり,審美的矯正装置を希望する患者の治療に有効と考えられた.一方,セットアップモデルの細部における精度や,技工指示におけるコミュニケーションのしやすさなどには課題も見受けられた.また,個別化された治療システムではあるが,臨床的状況に応じて調整を加えることの重要性も示唆された.

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