Abstract

日本版敗血症診療ガイドライン2020 (J–SSCG2020)特別委員会(本委員会)は,作成当時に入手可能であったエビデンスを基に,敗血症患者に対して急性期にビタミンCの投与を行うことを弱く推奨した 1, 2。その後,2022年にLamontagneらが872名の昇圧薬投与を必要とする敗血症患者を対象にした大規模多施設ランダム化比較試験(RCT)を発表した 3。このRCTでは,28日死亡,持続する臓器障害のそれぞれでは有意差がなかったものの,両者の複合アウトカムにおける発生割合は,ビタミンCの投与を⾏うことによって有意に増加した。本委員会は,この結果を受けて,“Patients(P)”,“Intervention(I)”,“Control(C)”,“Outcome(O)”と検索式はJ–SSCG2020と同じものを用いた追加のシステマティックレビューを行い,新たに12のRCTを追加し,計23のRCTのメタアナリシスを基に推奨の再検討を行った(表1,補足図1)。 バイアス のリスク その他の検討 相対指標(95% CI) 絶対指標(95% CI) RR 1.11 (1.02 to 1.22) 1,000人あたり42人多い (8人多い~ 83人多い) ⊕⊕⊕◯ 中 RR 0.89 (0.77 to 1.04) 1,000人あたり34人少ない (70人少ない~ 12人多い) ⊕◯◯◯ 非常に低 RR 0.94 (0.76 to 1.16) 1,000人あたり20人少ない (from 80人少ない ~53人多い) ⊕◯◯◯ 非常に低 平均0.25日短い (0.72 日短い~ 0.22日長い) ⊕◯◯◯ 非常に低 平均0.24 日長い (0.97 日短い~ 1.45日長い) ⊕◯◯◯ 非常に低 RR 1.02 (0.93 to 1.13) 1,000人あたり6人多い (20人少ない~ 38人多い) ⊕⊕◯◯ 低 望ましい効果であるICU滞在日数に関する効果推定値は,平均差(mean difference: MD)0.25日短い[95%信頼区間(CI):0.72日短い~0.22日長い](16RCT,3,534名)であり,望ましい効果は「わずか」と判断した。一方,望ましくない効果である死亡に関する効果推定値は,エビデンスの確実性の最も高い長期死亡がリスク差(risk difference: RD)42人多い/ 1,000人(95%CI:8人多い~83人多い)(6RCT,2,881名),急性腎障害に関する効果推定値がRD 6人多い/ 1,000人(95%CI:20人少ない~38人多い)(9RCT,2,230名),入院期間に関する効果推定値がMD 0.24日長い(95%CI:0.97日短い~1.45日長い)(12RCT,3,407名)であり,望ましくない効果は「中」と判断した。これらより,効果のバランスはプラセボ群でおそらく優位で,各アウトカムが異なる方向性を示しており,エビデンスの確実性は「非常に低」と判断した。価値観,容認性,実行可能性の判断に変更はなく,以上から本委員会は,「敗血症患者にビタミンCの投与を行わないことを弱く推奨する(Grade 2D:エビデンスの確実性=「非常に低」)」に推奨を変更することとした。 なお,本委員会報告は,日本集中治療医学会雑誌,日本救急医学会雑誌に同じ内容で掲載される。 本論文の記述内容に関して,著者全員に利益相反(COI)はない。J–SSCG2020作成に関する全メンバーのCOIはJ–SSCG2020本編の巻末に示した。 Please note: The publisher is not responsible for the content or functionality of any supporting information supplied by the authors. Any queries (other than missing content) should be directed to the corresponding author for the article.

Full Text
Published version (Free)

Talk to us

Join us for a 30 min session where you can share your feedback and ask us any queries you have

Schedule a call