Abstract

要旨 突然死の家族歴がない28歳の男性に,発熱を契機に発症した心室細動症例を経験した。患者は1週間前から感冒様症状,胸部痛,発熱(39.8℃)を認め当院救急外来を受診した。診察終了後,突然心室細動になり,蘇生に約30分を要した。心拍再開時の体温は39.1℃で,Brugada型心電図type 1を呈していた。臨床経過から劇症型心筋炎の治療および脳低温療法を開始した。心原性ショックおよび高ミオグロビン血症も認めIABPおよび持続的血液浄化療法を併用した。体温の低下とともにBrugada型心電図type 3から正常波形に変化した。その後の治療経過中にも体温とは関係なく同様の心電図変化を認めた。ウイルス性心筋炎が否定された後の上位肋間での右側胸部誘導でBrugada型心電図type 3を認めBrugada症候群の精査を考慮したが,患者および家族の強い拒否のために確定診断には至らず退院となった。他院でのセカンドオピニオンの結果,埋め込み型除細動器を留置した。留置後,熱発を契機に再度心室細動を発症したことから,Brugada症候群が最初の心停止の原因であったと考えられた。Brugada症候群患者における特徴的な心電図異常は,様々な外的要因によって顕在化し,致死的な不整脈イベントが惹起され,またその心電図異常は経時的に正常化するため注意が必要である。

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