Abstract

要旨妊娠33週の30歳女性。6週間前から咳嗽が出現し数日前から臥位になれず近医を受診したところ,胸部CTで前縦隔腫瘍が気管と右主気管支とを圧排していたため同日転院となった。搬送時,起坐呼吸で頻脈があった。顔面の浮腫と頸静脈怒張があり,縦隔腫瘍による気道狭窄症と上大静脈症候群と診断した。呼吸苦は急速に進行しており気管挿管と陽圧換気が必要であった。妊娠継続は母体にとってリスクが高いと判断し緊急帝王切開術の方針としたが,術中に換気不全に陥る危険性があったためextra–corporeal membrane oxygenation(ECMO)を待機して手術を開始した。麻酔の導入から児の娩出までは問題なかったが,閉腹の際に換気量を保てず,veno–venous ECMOを導入した。第2病日に生検を行い,迅速病理検査で悪性リンパ腫と診断し化学療法を開始した。第6病日には胸部X線写真で肺野の透過性が改善して従圧式補助調節換気での一回換気量も増加したため,第8病日にECMOを離脱した。その後も化学療法を継続し,第35病日に人工呼吸器を離脱,第85病日に独歩退院となった。初診から3年8か月が経過した現在,再発はない。妊婦が縦隔腫瘍により重篤な呼吸不全を来すことは稀である。救命のためには,緊急帝王切開術の迅速な決断,必要なタイミングでECMOを導入したこと,迅速な病理診断と早期の治療開始が重要であった。

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