Abstract

当院の深部静脈血栓症(DVT)診断における下肢超音波検査(US)の現状を把握する目的に実態調査を行った.【対象および方法】対象は2016 年4 月~2018 年6 月に当院でDVT 診断を目的にUS とD-dimer 検査が施行された825 例(DVT 既往,治療経過症例は除外).性別は男性386 例,女性439 例,年齢は平均71.2 歳である.DVT 検出状況,依頼内容の調査,さらにDVT 群と非DVT 群での下肢症状およびD-dimer 値の比較を後方的に行った. DVT 診断はUS にて行い,血栓存在部位を膝窩静脈より中枢側が中枢型,末梢側が下腿型として分類した.なお,D-dimer 値の基準範囲は<1.0 μg/mL である.2 群間の比較において連続変数はt 検定,名義変数はχ2 検定を行い,p <0.05 を有意差ありと定義した. 【結果】DVT は26%(217/825 例)に認め,中枢型85 例(39%),下腿型132 例(61%)であった.主な依頼内容は,下肢症状(浮腫・腫脹・圧痛)45%,D-dimer 上昇22%,脳卒中19%であった.DVT 群と非DVT 群の比較において,年齢は74.3歳,70.1歳とDVT群が有意に高く(p= 0.022),下肢症状は片側性が36%,23%とDVT群が有意に高かったのに対し(p <0.05),両側性は9%,21%と非DVT 群が高かった(p <0.05).また,D-dimer 値は14.5 μg/ mL,5.5 μg/mL とDVT 群で有意に高値であり(p <0.001),基準範囲の症例(137 例)は全て非DVT 群であった. 血栓部位別にみると,片側性は中枢型DVT が有意に高かったが(中枢型59%,下腿型21%),D-dimer 値に有意差を認めなかった(中枢型14.0 μg/mL,下腿型13.8 μg/mL). 【考察】DVT 既往や治療症例を除外した本検討では,D-dimer 値が基準範囲ではDVT を認めず,D-dimer はDVT の除外に有用でありUS 削減に寄与できる.一方,D-dimer 値が基準範囲を超えるとDVT 以外の要因が多いため, D-dimer 上昇とDVT の関連性は乏しかった.さらに,D-dimer 値と血栓部位との関係も認めず,臨床所見と組み 合わせての診断が必要といえる.下肢症状が片側性は中枢型DVT が多く,D-dimer 上昇を伴う症例において積極的にUS を施行すべきと考えられる.

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