Abstract

近年, 中国で育成された穂重型多収性水稲もち系統9004(日本型稲)に対する, 窒素施用時期[分げつ始期(分げつ肥), 穎花分化期(穂肥I), 同退化期(穂肥II)および出穂期(実肥)]の単独時期または分げつ始期を含む2~4時期を組み合わせた時期に施用(施用量は7.5~30gN/m2)し, 籾数および物質生産に着目して収量成立に及ぼす窒素施用の影響について解析した. 1)各処理区の精籾収量は804~1081g/m2で, m2当たり籾数3.14~5.06万粒, 登熱歩合79.6~93.7%, 精籾千粒重25.2~29.0gの範囲にあった. 2)分げつ肥の施用は穂数の, 穂肥IIの施用は穂数と1穂籾数によるm2当たり籾数の増加により増収となった.実肥の施用は出穂前の窒素施用量の少ない場合にのみ登熟歩合および精籾千粒重の増加により増収となった. また, 窒素施用量の増加に伴い収量は増加する傾向がみられたが, 窒素施用量が同一水準での増収程度は, 穂肥I>穂肥II>分げつ肥>実肥の順で認められた. 3)収量はm2当たり籾数と登熟期間の乾物生産量に支配され, m2当たり籾数は穂首分化期~出穂期までの窒素吸収量により決定される1穂籾数と, 登熟期間の乾物生産量は登熟期間の平均葉面積指数と窒素吸収量, m2当たり籾数と密接な関係を示した. 4)以上より, 中国で育成された穂重型多収性品種である9004系統では, 籾数確保のために幼穂分化期~出穂期までの窒素の吸収量の増大が必要であり, さらに多収穫を実現するためには, 出穂期前の乾物蓄積量と出穂期後の乾物生産量を高めて, 籾1粒当たりの乾物分配量を増加することが必要と思われた.

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