Abstract

1. 過去3年間に当院に入院して鼻外前頭洞手術を受けた前頭洞嚢腫 (正しくは前頭・篩骨部位嚢胞) 35症例, 37側のX線写真所見を分析した.2. 普通撮影法で用いたものは Caldwell 法と Waters 法とであり, ポリトームによる後前方向と側方向との薄層断層撮影法を併用した.3. 症例には2つの分類法を用いた. 第一は既往に鼻・副鼻腔手術が行なわれたか否かにより, 鼻外手術後 (11側), 鼻内または上顎洞手術後 (15側), 手術なし (慢性副鼻腔炎11側) とに分類した. 第二の分類は普通X線写真での形態により, タイプ1 (単純拡大型, 14側), タイプ2 (慢性副鼻腔炎型, 19側), タイプ3 (充塞・嚢胞型, 4側) とである.4. 鼻外手術後ではタイプ1 (45%), タイプ2 (36%), タイプ3 (18%) である. 鼻内または上顎洞手術後ではタイプ1 (27%), タイプ2 (67%), タイプ3 (7%) である. 手術なしではタイプ1 (45%), タイプ2 (45%), タイプ3 (9%) である. タイプ2 (慢性前頭洞型) はX線所見で前頭嚢腫として非典型的であるが, このタイプが全症例の約半数を占めることは注目すべきである.5. X線所見の読影では前頭洞を, 辺縁部, 洞内部, 洞底部とに分割して観察した.6. 辺縁部では辺縁硬化像と波形とに注目した. 辺縁硬化像の分類と出現率は, 線状 (51%), 帯状 (5%), 片ぼかし (43%) である. 辺縁波形の分類と出現率は消失 (46%), 鈍化 (54%) である.7. 洞内部での注目点とその出現率は, X線透過度増強 (43%), 減少 (46%), 不規則な軟部組織陰影 (16%) である.8. 洞底部では眼窩上縁および内縁の変位と消失, 眼上含気腔 (前頭胞, 側窩), 嚢腫の眼窩上壁での後方への進展度 (1/3, 2/3, 3/3), 篩骨蜂巣の陰影 (正常, 陰影あり) などに注目した. 眼窩上縁では変位 (16%), 消失 (49%) で, 内縁では変位 (35%), 消失 (30%) である. 眼上含気腔の出現率では前頭胞 (11%), 側窩 (76%) である. 眼上部進展では1/3 (51%), 2/3 (38%), 3/3 (4%) である. 篩骨蜂巣陰影では正常 (30%), 陰影あり (70%) である.9. 前頭洞嚢腫の診断に最も重要なものは問診と一般鼻科学的検査とである. 補助的診断手段としてのX線所見でことに注目すべきものは辺縁部の形態 (硬化像, 波形) と洞底部の形態 (眼窩上縁, 内縁, 前頭胞と側窩) とである.10. X線診断上で鑑別すべき疾患は1) 皮様嚢腫, 2) 好エオジン性細胞肉芽腫, 3) 悪性腫瘍, 4) 髄膜瘤, 5) 髄膜腫, 6)動脈瘤, 7) 眼窩内炎症, などである.

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