Abstract

本研究では, 中学生から大学生までの「浮力」の理解を明らかにするために2 つの調査を実施した。調査Ⅰの目的は, 中学校段階における「水圧」の学習が, その後学習する「浮力」の理解にどのような影響を与えるのかを対象者の「水圧」の認識と「浮力」の認識の観点から検討することである。また, 調査Ⅱの目的は, 浮き沈みする水中の物体(水面に浮かんでいる状態および水そうの底に沈んでいる状態の物体を含む)に働く「浮力」の大きさに関する対象者の認識を明らかにすることである。調査Ⅰの結果, 以下の2 点が明らかとなった。(1)「水圧」の大きさを正しく認識している対象者は, 「浮力は深い方が大きい」もしくは, 「浮力の大きさは同じ」と回答する傾向にあるが, 「浮力は浅い方が大きい」と回答することはほとんどない。(2)「水圧」の大きさを誤って認識している対象者には, 「浮力」は「浅い方が大きい」, 「深い方が大きい」, および「浮力の大きさは同じ」とする3 つの回答が混在している。したがって, 「水圧」の学習は, 「浮力」の理解に一定の効果がある。調査Ⅱの結果, 以下の2 点が明らかとなった。(1)「浮力」を学習していない対象者には, 「水中で静止しているひもでつるした物体に浮力は働くが, 水中において浮き沈みする物体に浮力は働かない」とする誤った考えが多く見られた。(2)一方, 「浮力」を学習した対象者には, 上記のような誤った考えよりも, 「物体全体が水中に没している場合と, 物体の一部が水面から出ている場合の浮力の大きさは同じ」とする誤った考えが多く見られた。したがって, 水中で静止している物体に働く「浮力」だけではなく, 水中で運動している物体に働く「浮力」を検討することは, 「浮力」の理解を促進する。あわせて, これらの結果から, 授業改善の方向性を示した。

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