Abstract
磯松層は中新世のグリーンタフからなり，その既報ジルコンフィッショントラック（FT）年代は層序学的に推定される年代よりも有意に若い．今回筆者らは，若いFT年代が決定されたのと同じジルコンに対してLA-ICP-MS法によるU-Pb年代測定を行った．磯松層下部の火砕岩から約17.7Maの238U-206Pb年代が得られ，これは磯松層下部の堆積年代を近似する，またはその下限を制限する年代と見なされる．磯松層の年代は約17.7Maから約16Maまでの間と考えられ，それを踏まえて筆者らは津軽半島北部の下部中新統の年代層序モデルを改訂した．今回の測定結果は，調査地域またはその近傍でのマグマ活動，磯松層の堆積に示される調査地域における海進，および磯松層堆積時に起こったと考えられるハーフグラーベンの活動に対して，新たな年代制約を与えるものである．
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