Abstract

ニワトリの野生原種とされるセキショクヤケイの生態学的・行動学的研究は,飼育下において行われることがあったが,本来の生息域においてはほとんど研究されてこなかった。そこで著者らはタイ国王立森林局の許可を得て,2006年から09年まで常緑乾燥林のKao Ang Rue Nai自然保護区51.7 haの調査地域に,総計427個のライブトラップを設置して調査を行った。その結果,オス76羽,メス73羽,合計149羽のセキショクヤケイを捕獲し,体重・体長などのデータを採取,標識したのち放鳥した。同一個体が捕獲されたトラップの最大間隔はメスでは1129 m,オスでは981 mであった。雌雄に有意な差が認められなかったので,すべての個体の最大間隔の平均値を求めたところ380.3 m (±305.1SD)であった。またJolly-Seber法により,調査地域1ha当たりのセキショクヤケイの平均生息密度は,1.6-2.0羽と推定された。またセキショクヤケイのオスの体重は繁殖期に18.0%減少するが,非繁殖期には21.5%増加することが明らかになった。一方メスの体重は,繁殖期に23.6%減少し,非繁殖期に14.2%増加した。この結果は,繁殖にかかわる雄雌の負担の差を示すものと推測される。なお保護区に生息するセキショクヤケイの平均寿命は4年を超えていると推測された。

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