Abstract

糖鎖の最も外側に位置するシアル酸は,その存在位置と陰性荷電に加え,構造が多様性に富むことから,様々な分子による糖鎖認識の標的となる。我々は,活性化 B 細胞および胚中心のマーカーとして,長らく認識エピトープが未知のまま用いられてきたモノクローナル抗体,GL7 が,α2,6 結合のシアル酸を含む糖鎖構造をエピトープとして認識すること,さらにその認識がシアル酸分子種についても特異性を示すことを明らかにした。胚中心は抗体の親和性成熟やクラススイッチが起こる場であり,B 細胞を介した獲得免疫応答にとって欠かすことのできない重要な場である。GL7 エピトープの同定により,マウスの胚中心 B 細胞で,主要シアル酸分子種が N-グリコリルノイラミン酸(Neu5Gc)から N-アセチルノイラミン酸(Neu5Ac)へと変化すること,そして GL7 がこの活性化依存的なシアル酸分子種の変化を検出していることが明らかとなった。このシアル酸分子種の変化は,胚中心 B 細胞において CD22 の糖鎖リガンドの発現が抑制されることを意味する。さらに,Neu5Gc 欠損マウスの解析から,Neu5Gc が B 細胞の増殖に対し抑制的に働くことが示唆された。

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