Abstract

これまで土地区画整理事業では小規模宅地に対する減歩緩和措置が採られてきた。しかし、その原資となる宅地の確保をめぐる負担の公平性の問題や、減歩緩和措置が採られた小規模宅地の高度利用や転売といった「看過される増進」の限定という問題は未整理のままであった。そこで本研究では増進を限定するとともに、その担保となる都市計画の位置づけを伴う「低増進街区」を区画整理施行地区に設定する意義と課題について検討した。事例として足立区六町地区における2階建て街区の実現過程を整理するとともに、その成立条件と課題を抽出することから目的に対する示唆を得た。六町地区ではダウンゾーニングを根拠とする換地設計により清算金徴収を減じつつ2階建て専用住宅という従前の土地利用を保全した。だが、その普遍化のためには隣接する他の街区とも調和する地区計画や、宅地面積を増やす小規模宅地対策の導入をなお検討する必要がある。また、負担の公平性の問題については、綿密な合意の過程を踏襲するとともに、施行者が権利者の換地の利用を制約できないという原理的な障壁を検討していく必要がある。

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