Abstract

本研究では,小学校理科授業において,合意形成能力のうち「科学的根拠を基に相互の考えの妥当性を吟味する力」を育成する指導法を考案し,授業実践を通してその効果を検証することを目的とした。この目的を達成するために,まずは,学習場面による合意形成の違いを整理した(仮説設定場面:多様な意見の一時的な共存並列状態である「アコモデーション」,考察場面:意見の一致である「コンセンサス」)。次に,学習場面による合意形成の違いを考慮して,仮説設定場面,考察場面それぞれの指導法を考案した。仮説設定場面では,目指す合意形成であるアコモデーションを考慮して,他者の考えを受容する場面を設定した後,妥当性の吟味を行わせる指導法を考案した。考察場面では,目指す合意形成であるコンセンサスを考慮して,アーギュメント構造に基づいた考察の妥当性を吟味する場面を設定した後,グループで1つの考察を決定させる指導法を考案した。考案した指導法の効果を検証するため,小学校5年生59名を対象に,塩化カリウムを用いた「ものの溶け方」に関する授業を行った。質問紙と評価問題による分析の結果,考案した指導法は「科学的根拠を基に相互の考えの妥当性を吟味する力」の育成に寄与することが示唆された。

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