Abstract

水稲冷害早期警戒システムにおいて東北全域の水稲の生育監視に適用する幼穂および玄米の主な発育ステージを予測するモデルを作成した.これらのモデルは日平均気温10℃以上の有効積算気温を用いて気象被害予測,栽培管理の支援に必要な発育ステージを推定するものである.幼穂の発育モデルは,幼穂形成期を起点として花粉母細胞分化期,減数分裂期,花粉内容充実期,出穂期を推定するものであり,日平均気温18~26℃の温度勾配温室でポット栽培した主稈を対象とした有効積算気温に,圃場の群落を構成する株内の主稈と他の茎の出穂変異を加味して作成した.玄米の発育モデルは出穂期から乳熟期,糊熟期,黄熱期,成熟期を推定するものであり,1998年と1999年の盛岡における東北の基幹12品種の各発育ステージの到達日から有効積算気温を決定した.本モデルを用いて2000年の盛岡で栽培した12品種の出穂期および成熟期の予測精度を検証したところ,推定誤差はそれぞれ1.2日,2.1日であった.また,宮城県,山形県の農家圃場における出穂期と成熟過程の予測精度は比較的高かった.さらに既報の主稈葉齢進度モデルに幼穂と玄米の発育モデルを組み合わせて幼穂形成期,出穂期で切り替えて利用することにより,活着後から成熟期までの発育ステージを予測することも可能であった.

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