Abstract

頸部気管に発生した腺様嚢胞癌に対して,PCPS (経皮的体外循環システム) 下に摘出術を施行した症例を経験した。症例は69歳女性。咽頭の違和感と嗄声を主訴に初診。咽頭および喉頭に特記すべき所見を認めず,内科にて経過観察された。しかし喘鳴および呼吸苦が増悪し,2カ月後に当科にも再診した。上気道病変を疑い検索したCTと気管支鏡にて声門直下の気管内に腫瘍を認め,前壁から発生し内腔の4/5径を占拠していた。気管内挿管および気管切開は困難と考え,PCPSを使用した。手術は,第5気管輪で気管を横切開し,下方から腫瘍を確認した。術中迅速病理診断で腺様嚢胞癌の診断を得た。気管前壁側約1/3周を摘出・第1-5気管輪の高さで気管皮膚瘻とした。上方前壁側で断端陽性であった。術後放射線治療の後局所皮弁および右耳介軟骨にて硬性再建し,現在再発を認めない。気管腫瘍は比較的まれな疾患であるが,呼吸苦が増強し発見された折には既に増大しており対応に苦慮することがある。本症例も同様であり,教訓とすべきと考える。また部位によって治療法の綿密な計画と工夫が不可欠であるが,本例ではPCPSにより安全で確実な操作が可能であり有用であったと考えられた。

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