Abstract

本研究は日本の典型的な住宅の2点透視図を手描きで完成させられる透視図作成キットのための,グリッドの配置方法と定規セットのデザインを提案し,建築透視図初心者の学生に複雑な建物の透視図を完成させ,成功体験を与えることを目的としている.著者がすでに提案した基準建物の透視図の構図を基にして,A2サイズの用紙の中に平面透視図グリッドと立面透視図グリッドを配置する.作図作業が煩雑になることを避けるため,これら2つのグリッドは,基準建物の透視図と重ならないように配置した.またグリッド配置は,基準建物よりもやや大きい住宅についての作図も可能となっている.さらに本キットのための特別な定規セット(専用定規,レールバー,消点ストッパ)をデザインした.この定規セットは,2点透視図のすべての垂直線,消失線を描くことができ,かつ個数が最小限になるように考案した.それぞれの作図パターンを考察した結果,グリッドの配置は目標の機能を有していることを確認した.また使用者に対するアンケート調査により,定規セットも目標の機能を有していることが明確になった.本キットを使った結果,ほぼ全員の学生が複雑な透視図を完成させられるようになり,初心者や絵が苦手な学生全員が達成感を得ることができた.

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