Abstract

角化嚢胞性歯原性腫瘍は,歯原性上皮に由来する単房性もしくは多房性の顎骨内腫瘍で,錯角化を呈する重層扁平上皮により裏装されている。多発性の本腫瘍は母斑基底細胞癌症候群の徴候の一つとして知られている。本腫瘍の臨床的な特徴としては,周囲組織に対して侵襲的な態度を示すことや,再発傾向があることなどがある。今回われわれは,2001年から2010年までの10年間に東京医科歯科大学歯学部附属病院顎口腔外科で加療した角化嚢胞性歯原性腫瘍68例(男性39例,女性29例),90腫瘍について臨床的に検討した。このうち8例(男性3例,女性5例),30腫瘍は母斑基底細胞癌症候群例であった。全90腫瘍のうち24腫瘍で再発を認め,再発率は26.7%であった。開窓・摘出術を行った腫瘍の再発率(16.1%)は,開窓療法を行わず摘出術を行った腫瘍の再発率(34.5%)より低かった。腫瘍に接する歯を根治的に処置した腫瘍の再発率(3.4%)は,保存的に処置した腫瘍の再発率(37.7%)より低かった。再発は,その多くが保存した歯の歯根付近から生じていた。これは,この部位は腫瘍の摘出が困難なため,不完全になってしまうことによると考えられた。腫瘍の摘出から再発までの期間は6か月から5年に分布し,ほとんどが3年以内であった。よって,腫瘍摘出後は最低3年間は定期的に経過観察を行う必要があると考えられた。

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