Abstract

症例は57歳の男性で,腹痛を主訴に近医を受診した.肝胆道系酵素の上昇があり総胆管結石症の疑いで乳頭切開術を施行された.その後胆道出血による貧血が進行し,緊急血管造影で膵動脈瘤破裂と診断され,後上膵十二指腸動脈を塞栓後,当院へ紹介された.当院での腹部血管造影で門脈の早期描出と膵頭部・尾部に網状の血管増生を認め,膵動静脈奇形(AVM)と診断した.再出血予防のため膵頭部と膵尾部を切除し,膵中央部を温存する術式を選択した.術後膵瘻を合併したが保存的に軽快し,術後約2年の経過で糖尿病はなく腹痛や出血の再燃も認めていない.複数の流入血管を有する膵動静脈奇形は先天的な病変とされ,切除が根治的で有効性が高い.膵AVMのような複数の良性膵病変に対し,病変の範囲が及んでいない実質を温存することで,膵全摘を避け術後の糖尿病発症・消化機能不全を予防することができる.

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