Abstract

症例は50歳の男性で,腹痛に対して腹部造影CTを受け,膵尾部に17 mm大の単房性囊胞性病変を認めた.尾側の主膵管は拡張しており,膵実質は腫大し,周囲の脂肪織濃度の上昇を伴っており急性膵炎の所見であった.MRCPで囊胞性病変と主膵管に明らかな交通はなく,超音波内視鏡検査で囊胞性病変は単房性で,内部に壁在結節や隔壁構造を認めなかった.急性膵炎とそれにともなう貯留囊胞と診断し経過観察としたが,膵炎が再燃し,囊胞性病変による主膵管の狭窄が原因の可能性もあり腹腔鏡補助下膵体尾部切除術を行った.摘出標本の病理学的所見では,卵巣様間質を伴う円柱状の上皮からなる二房性の囊胞性病変で,膵粘液性囊胞性腫瘍(mucinous cystic neoplasm;以下,MCNと略記)と診断した.男性発症の膵MCNは女性例と比較すると頻度は少ないが,画像検査で疑わしい所見を認めた場合は,鑑別疾患の一つとして考慮すべきと思われた.

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