Abstract

症例は87歳,女性.腹痛,血便を主訴に当院を受診.腹部単純CTで直腸からS状結腸に同心円状構造を認め,腸重積が疑われた.肛門から腸管の脱出を認めたが,先進部となり得る腫瘍性病変は確認されなかった.内視鏡的整復は困難であり,観血的整復目的で当科へ紹介となった.同日緊急手術を行い,肛門から用手的に重積腸管を腹腔内に移動させ,開腹下に腸重積の整復を行った.術中大腸内視鏡検査を施行したところS状結腸に2型腫瘍を認め,また重積腸管の壊死が疑われたため同部位を切除範囲に含めたS状結腸切除術を施行した.病理組織所見では2型腫瘍はS状結腸癌の診断であり,その肛門側に腸管壊死の所見を認めた.術後は合併症なく経過し,現在無再発生存中である.肛門外に脱出した腸重積の報告は比較的稀である.今回われわれは,S状結腸癌を術中大腸内視鏡検査により診断,治療しえた1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.

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