Abstract

症例は23歳の女性で,心窩部痛を主訴に当院紹介となる.上部消化管内視鏡検査で胃角後壁に約25mm大の隆起性病変を認め,腹部造影CTで胃体下部大彎側に約35mm大,胃角部後壁に約16mm大の造影効果が膵と類似した病変を認めた.胃粘膜下腫瘍としてgastrointestinal stromal tumor (以下,GISTと略記)や平滑筋腫,異所性膵などが鑑別として考えられたが,GISTが否定しきれないことから手術の方針となった.術中の肉眼的所見はどちらも膵組織であり,異所性膵と診断した.二つの病巣に対して2箇所で胃部分切除術を施行し摘出した.術後に心窩部痛は消失した.術後病理学的組織診断は,ともに異所性膵であり,それぞれ胃壁の固有筋層から漿膜下層および粘膜下層から固有筋層に存在していた.一部の膵管周囲に組織球の小集簇を伴う線維化巣も認められたため,心窩部痛に際して限局的膵炎を発症していた可能性が疑われた.臨床症状を伴い,2箇所に存在する異所性膵はまれであり,報告した.

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