Abstract

17 歳,男性。3 年前,柔道部で体部白癬が流行した際に罹患し,外用剤治療で軽快した。3 カ月前より後頭部に疼痛や瘙痒のある膿瘍や結節が多発し,他院皮膚科で抗菌薬内服や副腎皮質ステロイド外用剤で治療されたが拡大し,疼痛のため不眠も出現した。頭部膿皮症の一型である膿瘍性穿掘性頭部毛包周囲炎(perifolliculitis capitis abscedens et suffodiens,以下 PCAS)の診断で生物学的製剤の導入目的に当科へ紹介となった。全頭に脱毛を伴う膿瘍や結節病変,頭部 CT では症状の強い部位に一致して皮下に浮腫性の炎症があり,膿皮症を示唆する所見だった。しかし,病理組織学的検査で真皮から皮下組織に毛包破壊像と肉芽腫の形成があり,血清 β-D グルカン(β-D-glucan,以下 βDG)の上昇もあったため,深在性真菌症の可能性を考え,テルビナフィン塩酸塩(ラミシール®,Terbinafine,以下 TBF)125 mg/day を開始した。当初臨床症状の改善に乏しかったが,生検部膿汁の真菌培養で 10 日後にコロニーの発育,1 カ月後に Trichophyton tonsurans(T. tonsurans)が同定されたことから,Celsus 禿瘡と診断し,TBF を 250 mg/day に増量すると速やかに皮膚症状は改善し,血清 βDG も正常化した。βDG は真菌の細胞膜構成成分で,培養検査より速やかに結果がわかるため深在性真菌症の補助的診断に用いられる。一般に Celsus 禿瘡では測定されていないが,本症例のように炎症症状が激しく臨床像から診断が難しい頭部の膿瘍を伴う病変をみた場合は,病理検査や培養検査とともに有用である可能性を考えた。

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