Abstract

更年期障害に対してホルモン補充療法(以下HRT)を継続していた患者が乳癌の診断確定となり,術前にHRTを中止したところ,腫瘤が急速に縮小した1例を経験したので報告する.症例は52歳,女性.2019年3月に左乳房腫瘤を自覚し,精査目的に当院へ紹介となった.乳腺エコーでは左乳房内上部に16mm大の低エコー腫瘤を認め,針生検を施行したところ,浸潤性乳管癌ER(+:95%),PgR(+:80%),HER2(1+)であった.2018年7月よりエストラジオール・酢酸ノルエチステロン貼付剤を使用していたため,2019年4月に中止した.2019年5月手術前日の乳腺エコーでは,病変は8mmと著明に縮小していた.術前にHRTを中止することで,急激な血中エストラジオール濃度の低下が生じた結果腫瘍が縮小したものと考えられる.長期のHRTには乳癌発症リスクが上昇することが知られており,本症例のように短期の投与であっても,HRTが潜在する腫瘍の増大に寄与する可能性があると言える.

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