Abstract

症例は65歳,男性,健康診断の腹部超音波検査で腹腔内腫瘤を指摘され,当院を受診した.造影CT・MRIで膀胱腹側に50mm大の腫瘤を認め,腹腔内あるいは腹膜外腔に位置する奇形腫が疑われた.悪性も否定できないため手術の方針とした.開腹手術にて骨盤内を検索したが,明らかな腫瘤は確認できなかった.しかし,術直後の腹部X線写真で左側腹部に移動した石灰化腫瘤を認めたため,直ちに再手術にて大きさ50mm大の腹腔内遊離体を摘出した.50mm大を超える腹腔内遊離体は稀であり,術前に診断がついたものは少ない.典型的な画像所見と移動が確認されれば診断は可能であり,症状を呈さなければ不要な手術を避けることが可能である.腹腔内腫瘤の鑑別として近年腹腔鏡の有用性が報告されてきているが,いずれにしても本疾患の存在を念頭に置くことが第一である.

Full Text
Published version (Free)

Talk to us

Join us for a 30 min session where you can share your feedback and ask us any queries you have

Schedule a call