Abstract

特発性食道破裂は食道内圧の上昇により食道壁が全層で破裂する疾患で,時間とともに重症化し致命的となる.早急な治療が必要であり,これまで開胸手術が外科治療の中心であったが,近年は鏡視下手術の報告が増えている.当院では2013年12月から2018年10月に特発性食道破裂に対する腹腔鏡手術を5例経験したため,その有用性について検討した.穿孔部位は胸部下部食道左側が1例,腹部食道左側が4例で,全例で穿孔部の縫合閉鎖と胃穹窿部による被覆が行われた.手術時間は中央値で190分,出血量は10 mlであった.合併症は2例に胸水貯留と1例に肺炎を認めたが,縫合不全は認めなかった.死亡例はなかった.腹腔鏡手術は緊急手術としても許容しうる手術時間で,より低侵襲かつ確実な穿孔部の処置が可能であり,胸部下部および腹部食道における特発性食道破裂において有用な術式となりうることが示唆された.

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