Abstract

地質調査総合センターでは現在,5万分の1地質図幅「鳥羽」の作成を行っている.その研究過程で,志摩半島に分布する秩父累帯北帯及び三波川帯の付加体の付加年代を決定することを目的に,砂岩及び砂質片岩中の砕屑性ジルコンのU–Pb年代を測定した. 秩父累帯北帯逢坂峠コンプレックスの砂岩中ジルコンの最若粒子集団は204.4±4.0 Ma(三畳紀末~ジュラ紀初頭)を示し,また同帯河内コンプレックスの砂岩中のジルコンの最若粒子集団は183.4±2.9 Ma(前期ジュラ紀中頃~前期ジュラ紀後半)を示すことが明らかになった.これらは放散虫化石から想定されている陸源性砕屑岩の時代(付加年代)と矛盾しない.また,三波川帯宮川層の砂質片岩中のジルコンの最若粒子集団は177.1±1.6 Ma と95.5±2.5 Ma(後期白亜紀前半)を示すことが判明した.後者は,伊勢地域(図幅西隣)から得られている99–83 MaのフェンジャイトK–Ar年代(変成・冷却年代)と調和的である.しかし,前者は後者よりも有意に古い年代を示す結果となった.前者の妥当性を検証するため,今後更なる砕屑性ジルコンU–Pb年代やフェンジャイトK–Ar年代などのデータ追加が必要である.

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