Abstract

要旨 慢性・難治性吃逆には何らかの原因疾患があることが多いが,薬剤が原因となり得ることはあまり知られていない。筆者が経験した薬剤誘発性吃逆症例のうち3例を報告する。1例はステロイドが,1例は創感染治療に用いられたニューキノロン(NQ)系抗菌薬が,1例は抗腫瘍薬が原因と考えられた。吃逆中枢は延髄疑核近傍網様体内にあり,GABAによる抑制を受けている。そのためGABA拮抗作用をもつ薬剤は吃逆誘発作用をもつと考えられる。ステロイドはGABA促進作用と拮抗作用という相反する作用をもつことが報告されているが,吃逆中枢ではGABA拮抗作用が強いと考えられる。NQ系抗菌薬はGABA拮抗作用による痙攣誘発作用があり,吃逆誘発も同じ機序によると考えられる。抗腫瘍薬には痙攣誘発性のある薬剤があり,白質変性作用をもつことなどが示唆されGABA作用と関係する可能性が考えられる。薬剤誘発性吃逆は可能なら原因薬剤の中止・変更が望ましいが,不可能な場合はGABA–B作動薬であるバクロフェンの投与が有効な可能性がある。

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