Abstract

要旨【目的】2017年6月,東京消防庁の心室細動または無脈性心室頻拍による院外心停止事案に対する病院前救護プロトコールは改訂された。改訂後プロトコールでは,救急隊による除細動は原則3回までとし,アドレナリン投与を実施しないとされた。本研究はこのプロトコール改訂の効果検証を目的に実施した。【対象】東京消防庁の蓄積データ(2016年から2018年)に含まれる18歳以上の心原性院外心停止患者を対象に,分割時系列デザインを用いてプロトコール改訂の効果を推定した。主要評価項目は覚知から病院到着までの所要時間とした。【結果】1,261例が解析対象となった。患者の平均年齢は64.5歳で,男性は79.3%であった。プロトコールの改訂に伴い,覚知から病院到着までの所要時間は33.8分から30.6分へ有意に短縮した(変化量:−3.3分,95%信頼区間:−5.3分から−1.3分)。1か月後機能予後良好(脳機能カテゴリー1または2)割合に有意な改善は認めなかった(変化量:−6.2%,95%信頼区間:−14.5%から2.1%)。【結語】病院前救護プロトコール改訂に伴って病院前救護時間は短縮していた。今後は,早期病院搬送をいかにして患者アウトカム改善につなげるかについての研究が求められる。

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