Abstract
2003 年7 月26 日7 時13 分に発生した2003 年宮城県北部地震 (Mj 6.4) の際に,震源域の石巻市で確認された周期約1秒の顕著な後続位相の発生メカニズムを明らかにするために大規模並列計算機を用いた地震動シミュレーションを行った。まず,震源域周辺において重力異常値の短波長成分と余震観測記録のS波部に着目した波形逆解析により同定された1次元S波速度構造を用いて,深部地盤の3次元地下構造モデルを構築した。さらに既往の研究資料を用いて,石巻平野の沖積層からなる表層地盤の3次元モデルも作成した。構築した地盤モデルでの地震波伝播の定性的な理解のために,2003 年7 月28 日4 時8 分 (Mj 5.1) の余震による地震動の2次元差分法シミュレーションを実施し,平野部では沖積層の盆地構造の影響によって後続位相が現れることを明らかにした。つぎに,この余震の3 次元差分法によるシミュレーションを行った。計算では,東工大スーパーコンピュータTSUBAMEの200個のCPUを用いて,MPIで実装された並列アルゴリズムに基づく方法によって周期0.75秒以上の地震波を再現した。計算結果では,振幅や波形のより定量的な評価が可能となり,地下構造モデルが妥当なものであることを示した。さらに,同様の手法で本震による3次元地震動シミュレーションを行うことによって,顕著な後続位相の存在を再現できた。この後続位相は地表に到達した実体波が堆積層の不規則性によって表面波に変換され,地盤で増幅されながら平野を伝わった波であることが明らかとなった。計算された最大地動速度分布を求めると,震源のアスペリティの影響と地盤の影響により振幅が大きくなる領域と,地盤のみの影響により振幅が大きくなる領域があることがわかった。さらに,計算加速度波形をもとに算出した計測震度分布は震源域での観測値をおおむね説明することができた。
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