Abstract

【目的】近年,絵本の読み聞かせ活動が盛んになっており題材も食育に関するものが多く見られるが,絵本を用いた食育の効果を系統立てて評価した報告はまだない。本研究では,低学年児童の発達段階において絵本を用いた食育の効果を明らかにするため,小学2年生の児童に絵本の読み聞かせを行い健全な食行動への動機付けが形成されるか検討する。【方法】N市内公立D小学校(以下公立小),N女子大学附属小学校(以下附属小)の各小学校別に2年生の2クラスずつをそれぞれ介入群と対照群に分け,事前・事後調査を行った。事前・事後調査では食知識と食態度(食べる意欲,感謝の心,食意識)について調査し比較検討した。研究期間は3カ月間とし,介入群には,絵本の読み聞かせを週1回(全9回),絵本だよりの発行を3週間に1回(全3回)実施し,研究期間中は絵本を貸し出し自由に読むことができる環境にした。【結果】公立小では教育後に,赤・黄・緑の食品の分類や植物の生態に関する食知識,残さず食べようという食べる意欲,食べ物の命について考える感謝の心に関する項目の一部に向上がみられた。同様に,附属小においても食知識,食べる意欲,食べることへの興味関心である食意識に関する項目の一部に向上がみられた。【結論】絵本を用いた食育により公立小と附属小の介入群の児童は,前者では食知識と食べる意欲および感謝の心の項目に,後者では食知識と食べる意欲および食意識の項目において,いくつかの望ましい変化が認められた。

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