Abstract

高血圧治療薬につき多施設型臨床試験の結果を治療効果があるように装った虚偽のデータを提供するなどして研究者に学術雑誌に論文を発表させたとして,製薬会社と元社員が薬事法違反として起訴された事件について,東京地裁平成29年3月16日判決,控訴審の東京高裁平成30年11月19日判決は,製薬会社とその元社員をいずれも無罪とする判断を示した.その理由とするところは,薬事法は広告目的で虚偽または誇大な記事を記述した場合に限り処罰する規定であるから,学術論文の発表は該当しない,というのである.しかしながら,薬事法の規定が広告目的に限るという解釈に疑問があり,かつ本件の学術論文発表の経緯からみて広告目的と認定できる余地があるから,判旨には賛成できない.

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