Abstract

要旨糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)はインスリンの作用不足を原因とし,高血糖,ケトン体の上昇により代謝性アシドーシスが進行し,高カリウム血症により心停止に至る可能性がある。DKAにて心肺停止に陥った若年者に対し,早期にECPRを実施することにより神経学的後遺症なく蘇生された症例を報告する。35歳,女性。1型糖尿病であり持続皮下インスリン注入療法を行っていた。意識障害で発見され,救急車内収容後にasystoleとなり,直ちに心肺蘇生が開始されたが,当院に到着後もasystoleが持続していた。脳酸素飽和度が高値を示していたためVA ECMOを導入し,同時に体温管理療法も開始。その後,血糖2,105mg/dLと著明な高血糖が判明し,また,尿中ケトン体(+)の結果も含めてDKAによる心停止と診断した。心拍再開後,代謝性アシドーシスおよび血清カリウム値の補正を行い,循環状態が改善したため同日VA ECMOを離脱した。第5病日には意識が回復し,神経学的後遺症は見られず,第13病日に糖尿病内科に転科した。DKAによる心肺停止に対する早期のECPRは神経学的予後の面でも効果的である。蘇生に対するECPR実施は心電図波形により検討される傾向にあるが,心電図波形に関わらず脳酸素飽和度はそのECPR実施決定の一助となるかもしれない。

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