Abstract

要旨【背景】65歳以上の高齢者人口は2,958万人で,総人口に占める割合は23.1%となり,2011年度の全国平均では高齢者救急搬送率は49.3%を占めた。今後,高齢者数の増加に伴い,さらに救急医療の需要が増大することが予想される。高齢者救急は倫理的,社会的,医学的に重症と軽症の選別が難しく,地域医療の重要な課題である。【目的】都市部で二次救急を担当する当院の高齢者救急医療の現状を明らかにすること。【対象と方法】2013年4月~2014年3月迄の救急搬送患者を対象とし,合計救急搬送数等の各項目について65歳以上及び65歳未満両群で比較検討した。【結果】65歳以上群の救急搬送数は合計2,330件(年間総搬送数4,148件の56%に相当)。年齢は78±8歳,男性1,121例,女性1,209例であった。搬送元は病院(施設含む)163例,診療所319例,自宅または外出先1,848例であった。高齢者救急搬送のうち,入院症例は合計1,301例(56%)であり,65歳未満の入院合計821例(45%)に比し有意に多かった(p=0.02)。65歳以上群では循環器疾患で搬送される症例は同群全搬送数の32%であり,65歳未満群の18%に比し有意に高値であった。また循環器科に分類される救急搬送例の中で,緊急処置を要する頻度,ならびに冠動脈造影やペースメーカー植込みを要する頻度はいずれも65歳以上群の方が有意に高値であった。65歳以上群における平均入院期間は17±22日,入院後死亡は57例で,いずれも65歳以上群が65歳未満群に比べて有意に高値であった。【結語】65歳以上群において処置を有する重篤な循環器疾患が多く,様々な合併症を有するため,高齢者は入院率が高く,入院日数が延長していた。入院率も高い傾向にある高齢者救急は,都市部救急病院における診療の要である。今後も継続して適切な高齢者救急医療サービスの提供が望まれる。

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