胸腔鏡補助下気管支縫合術を施行した外傷性仮性肺嚢胞の1例(A case of traumatic pulmonary pseudocyst treated by bronchial suture via video assisted thoracic surgery)

Abstract

要旨 症例は24歳の男性。バイク運転中に大型トラックと衝突しタイヤに胸部を圧挫された。右胸部の圧痛と皮下気腫があり，少量の喀血を認めた。気胸と診断し胸腔ドレーンを挿入した。CTで右肺上葉に5×10cmの仮性肺嚢胞を伴う肺挫傷と血気胸，第4–7肋骨骨折を認めた。喀血と気漏は軽度で胸腔ドレナージによる保存的治療を行った。再検したCTで右気管支B3b入口部の断裂と肺嚢胞に交通を認め，気胸の増悪と新たな無気肺も認めた。Spike feverを認め，気管支損傷部の自然治癒は困難と判断し，第3病日に胸腔鏡補助下気管支縫合術を施行した。合併症なく術後10日目に退院した。外傷性仮性肺嚢胞は比較的稀であるが，多くが自然治癒する。肺膿瘍や気漏，気道出血が持続する場合に手術適応とされ，肺部分切除や葉切除が行われる。中枢側の気管支損傷を伴う肺嚢胞は感染リスクが高く，早期の気管支修復が肺の温存と感染予防に有効である。