Abstract

要旨外傷後の遷延する遺残血胸に対し,血栓溶解剤の胸腔内投与が奏功した症例を経験した。症例は21歳の男性。バイク走行中に転倒し,左前胸部を打撲した。左内胸動脈損傷に対して経カテーテル的動脈塞栓術を行い,左血胸に対しては胸腔ドレーンを留置し,循環動態は安定した。しかしながら,ドレナージ不良の血胸が残存し,無気肺の改善も得られなかったため,胸腔内血栓溶解剤投与法を施行した。第25病日から3日間,ウロキナーゼ12万単位を生理食塩水100mLに溶解して胸腔内投与し,6時間後に胸腔内を生理食塩水1,000mLで洗浄した。洗浄で血性の排液を認め,投与終了後の胸部CTでは,遺残血胸・無気肺の著明な改善を認めた。合併症については,疼痛や凝固系異常も含め,特に認めなかった。難治性の遺残血胸に対する胸腔内血栓溶解療法は侵襲度が低く,かつ合併症も少ないと報告されており,手術治療に先行する治療法として検討する価値があると考える。

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