Abstract

要旨プロカルシトニン(procalcitonin: PCT)は,細菌感染症の診断に有用であるが,外傷後や熱傷後などで血清PCT濃度が上昇した症例報告もあり,決定的ではない。今回,コンパートメント症候群を呈し,高PCT血症を認めた皮膚筋型結節性多発動脈炎(cutaneous and muscular polyarteritis nodosa: CMPAN)の1例を経験したので報告する。症例は76歳の日本人男性。手指,足趾,足背に進行性の紫斑や壊疽を生じ,さらに右下腿に発赤と重度の腫脹を認めた。右下腿の前方コンパートメント内圧と浅後方コンパートメント内圧でそれぞれ30mmHg以上であり,コンパートメント症候群と診断し,緊急皮膚切開と筋膜切開を行った。C–reactive protein(CRP),PCTの上昇を伴ったため,軟部組織感染症を疑い抗生物質を投与したが,臨床症状の改善はみられなかった。皮膚生検では筋肉内の好中球浸潤と皮下脂肪織の小動脈に壊死性血管炎を認め,CMPANと診断した。ステロイドパルス療法後,臨床症状は著明に改善した。自験例は血管炎に伴う循環障害によりコンパートメント症候群を生じ,コンパートメント症候群によりPCT高値に至ったと考えられた。

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