Abstract

要旨82歳の男性。転倒で下顎を強打し,近院に救急搬送された。バイタルサインの異常や口腔内出血は認めなかったが,左外耳道からの活動性動脈性出血をコントロールできず,当院へ転院搬送となった。搬入時,バイタルサインは正常,口腔内出血など気道緊急となる所見はなかったが,左外耳道からの出血は継続していた。CT検査で両下顎骨関節突起骨折,下顎骨中央部の骨折および両外耳道骨折を認めた。血管造影を準備する間,左外耳道出血に対し外耳道内で直接圧迫することで,動脈性出血は止血し得たにもかかわらず,血管造影では後耳介動脈に血管外漏出像を認めた。血管造影直後に舌左側の腫大による気道緊急が出現し,緊急気管挿管を施行した。舌の腫大が消退した第5病日には抜管,第15病日に下顎骨の観血的整復術を施行し,第28病日に軽快退院となった。日常診療において,下顎強打による下顎骨関節突起骨折,外耳道骨折および外耳道出血はしばしば遭遇するが,自験例では,外耳道出血部の圧迫止血による二次的な舌腫大によって気道緊急に至った。顔面外傷においては,繰り返し気道の開通を確認することが肝要であると再認識した。

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