Abstract

症例は65歳,男性.右下腹部の鈍痛および右鼠径部の膨隆を認め来院.血液検査にて高度の炎症反応を認めた.CT画像では右鼠径ヘルニアがあり,ヘルニア嚢内には腸管内容と思われる液体貯留を認めた.また,回盲部周辺に膿瘍と思われる限局性液体貯留を認め,その内側に虫垂が指摘された.鼠径ヘルニアの嵌頓に伴う腸管穿孔による腹腔内膿瘍あるいはヘルニア嵌頓と同時性に発症した急性虫垂炎の可能性があると診断し,緊急手術を行った.手術所見は外鼠径ヘルニアで,ヘルニア内容は腸管ではなく膿瘍であった.膿瘍の原因は穿孔性虫垂炎と考えられたが,回盲部周囲の癒着が強度であったため虫垂の切除は断念し,腹腔内洗浄・ドレナージのみ行った.初回手術の10カ月後に鼠径ヘルニアに対して根治術を行い,虫垂切除は炎症再燃時に行うこととした.本症例のように鼠径ヘルニア嚢内に膿瘍を形成した穿孔性虫垂炎の報告は稀であり,若干の文献的考察を加え報告した.

Full Text
Paper version not known

Talk to us

Join us for a 30 min session where you can share your feedback and ask us any queries you have

Schedule a call