Abstract

症例は既往に35年前,胆嚢摘出手術を受けた74歳の女性.慢性咳嗽と貧血を主訴に受診入院.胸部X線写真で右下肺野に巨大な腫瘤陰影を認めた.胸部CT・MRIで右下葉の腫瘤は内容物にガーゼを含有する肺膿瘍と診断された.術前検査で低肺機能があり肺葉切除が困難と判断され開窓術による異物除去と膿瘍内洗浄を行った.膿瘍腔内は有瘻性で治療に難渋したが,全身状態の改善を待って開窓術後3カ月目に二期的に大網充填術を行い軽快した.近年医療安全の推進により異物遺残の報告は減少してきたが,過去の開腹手術後のガーゼ遺残による手術や稀なガーゼの移動による症例の報告が散見されている.しかし,腹腔内に遺残したガーゼが横隔膜を越えて肺内で膿瘍を形成した報告は極めて珍しく調べられた報告では5例のみで,われわれの報告が6例目と考えられた.術後4年経過し再燃なく過ごしている.極めて珍しい症例を経験したので文献的考察を加え報告する.

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