Abstract

症例は73歳の男性.虚血性心筋症に対し冠動脈バイパス術,大動脈弁置換術施行後,抗凝固療法中であった.持続する心窩部痛を主訴に当院救急外来を受診した.来院時,血圧97/62mmHgと低下,眼瞼結膜は蒼白,血液検査でHb 8.5g/dlと低値であった.肝胆道系酵素とビリルビン値の上昇を認め,便潜血陽性であることから胆道系出血を疑った.腹部CT検査で胆嚢内に出血を疑う所見を認め,MRI検査では急性期出血を疑う所見であったため胆嚢出血と診断し,腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.術後は経時的に肝胆道系酵素および黄疸は改善し,出血性合併症を認めず,入院8日目に軽快退院となった.胆嚢出血は比較的稀な病態であり,抗凝固療法はリスク因子の一つである.手術により容易に止血が得られ予後も良好であるため早期診断が重要であり,抗凝固療法中の急性腹症においては胆嚢出血も鑑別診断の一つに挙げて診療にあたる必要がある.

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